大分県事業承継・引継ぎ支援センター メールマガジン
 
■「アトツギ甲子園」結果発表!■おおいた事業承継・引継ぎニュース Vol.55《定期便:2025年3月3日号》
このメールは、本メールマガジンにご登録いただいている方の他、大分県事業承継ネットワーク構成機関において事業承継支援に携わっておられる職員や士業の方など、当センターに関わりのある皆さまにお送りしております。
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 こんにちは。大分県事業承継・引継ぎ支援センターメールマガジン「おおいた事業承継・引継ぎニュース」編集長の”承 継子”です。このメールマガジンは、当センターの支援内容や事業承継に関わる様々な情報を、定期便(毎月1回発行)及び臨時便(不定期)にてお届けしています。

≪ 今号の目次 ≫
■センター便り:「第5回アトツギ甲子園」全国大会 結果報告!
■トピック1:「円滑な事業承継のための中小企業支援講座(全3回)」を開催しました
■トピック2:オープンネーム後継者募集イベント「事業承継マッチングin大分」(日本政策金融公庫主催)
■トピック3:新入職員 今年度の振り返り(サブマネージャー村松、エリアコーディネーター佐藤)
■お知らせ1:事業承継対策シートvol.7「個人事業主のための法人成り手続編」完成
■お知らせ2:令和6年度の事業承継に関する無料相談会・総括
■編集後記

■センター便り:「第5回アトツギ甲子園」全国大会 結果報告!

 2月20日(金)、全国の中小企業の後継者・後継者候補(アトツギ)が家業を活かした新規事業プランを競うピッチイベント「第5回アトツギ甲子園」の決勝大会が、東京で開催されました。
 大分県からは、豊後大野市・有限会社育葉産業の栗田貴宏さん臼杵市・株式会社木梨ふぐ九州店の木梨桃子さんの2名が、九州・沖縄ブロックの代表として出場。全国189名のエントリー者のうち、各6ブロックの地方大会を突破してきた18名のファイナリストらとともに、プレゼンバトルに挑みました。
 大分県はこれまで第1回から連続して決勝大会ファイナリストを選出しており、第5回目の本大会まで5年連続というのは、大阪府と並んで全国2府県のみ。大分県選出のファイナリストは累計9名で、これも大阪府に次いで全国2位という実績です。

 本番のステージでは、栗田さん、木梨さんお二人とも、祖父母以来の家業に対する敬意とその上で新たなチャレンジに向けた熱い思いを、満席の会場観覧者とオンライン視聴中の全国の方々に向けて見事なピッチ内容で発表しました。審査員5名からの質疑応答にも落ち着いて的確に対応している様子に手ごたえを感じました。

 18人全員のピッチ終了後、最終審査を経て入賞者の発表です。最優秀者として「経済産業大臣賞」1名、「中小企業庁長官賞」1名、「優秀賞」3名、ほか2つの賞が用意されているのですが、なんとこの「優秀賞」に、栗田貴宏さんが選ばれました!大分県からは2年ぶりの入賞者です。栗田さんおめでとうございます!

 今回の決勝大会の現地参加人数は定員300名でしたが、事前申し込みだけで満席になったという程、年々活況を呈しているアトツギ甲子園。会場のアナウンスでは、来年度も第6回目が開催されるとのことでした。
 39歳以下の後継者または後継者候補(今年度の参加資格)であれば、どなたでもエントリーの資格があります。メルマガ読者の皆さんの中にも上記の条件を満たす方がいらっしゃるのではないでしょうか。来年度のエントリーを検討されてみてはいかがですか?

■トピック1:円滑な事業承継のための中小企業支援講座(全3回)」を開催しました
 大分県事業承継・引継ぎ支援センターは、大分市産業活性化プラザが主催する「円滑な事業承継のための中小企業支援講座」に共催し、事業承継の基礎知識から具体的な承継事例、さらには経営革新の視点までを学ぶ機会として、実践的知識を学ぶ講座を2月5日、2月12日、2月19日の計3回にわたって開催しました。


●第1回(2月5日)【基礎編:基礎から始める事業承継/親族内承継と計画策定】
・講師:岩崎 美紀(当センター エリアコーディネーター)

 第1回では、「事業承継の全体像と親族内承継」をテーマに、事業承継の基本的な考え方や3つの承継法(親族内承継、従業員承継、第三者承継)について解説。
 事業承継には「経営」「資産」「知的資産」の3つの側面があることや、1.現状把握、2.承継計画の策定、3.経営改善、4.承継の実行、5.承継後のフォローアップの5つのステップについて紹介しました。

 親族内承継のメリットとして、早期からの後継者育成が可能である点が挙げられた一方、適任者の不在や相続問題などの課題も指摘され、それらに対する解決策についての提案もありました。
 さらに、事業承継計画の策定では、経営者と後継者の認識共有が不可欠であり、現状分析や経営戦略の整理が重要であることなどを解説しました。
●第2回(2月12日)【実践編:従業員・第三者承継の成功と失敗】
・講師:朝来 浩一郎(当センター サブマネージャー)
 第2回では「従業員・第三者承継の実務」をテーマに、後継者不在企業の承継方法について解説しました。
 まず、大分県の後継者不在率は62.9%と、全国平均を上回る現状を指摘。中小企業存続における事業承継の重要性を強調しました。従業員承継と第三者承継(M&A)の特徴を比較し、従業員承継では後継者育成や従業員間の関係性への配慮が必要である一方、M&Aでは企業価値の算定や譲渡条件の調整が課題でもあります。

 第三者承継(M&A)の進め方として、事業分析、マッチング、譲渡条件の検討について解説し、実際の事例を交えてメリット・デメリットを紹介。また、従業員承継の成功のポイントとして、後継者育成、承継意思の確認のほか、資金調達の準備が不可欠であることを強調しました。
●第3回(2月19日)【進化編:地域を変えるアトツギの挑戦】
・講師:栗山 浩一(当センター 承継コーディネーター)
・ゲスト:荒川 司 氏(有限会社アラカワハウス 代表取締役社長)

 第3回では、「事業承継を経営革新の機会にする」をテーマに、新しい事業承継の形やベンチャー型事業承継について解説しました。
 特に「アトツギ甲子園」における大分県の取り組みを紹介し、これまで5年連続でファイナリストを輩出している実績を強調。また、事業承継を通じた地域経済の発展に焦点を当て、若手後継者が既存事業の強みを活かしながら新たな挑戦を進める意義を説明しました。
 後半の有限会社アラカワハウスの荒川氏とのトークセッションでは、家業を引き継いだ後の新たな経営革新について語られ、古民家再生や新規事業への展開など、地域活性化を意識した実践事例について具体的に紹介しました。

 参加された皆さんは、本講座を通じて事業承継の全体像、親族内承継、従業員承継、第三者承継、さらには承継後の経営革新について体系的に学ぶことができたことと思います。
 特に、ベンチャー型事業承継を活用した経営革新の可能性について深く学ぶ機会となり、参加者からは「新たな視点を得ることができた」「事業承継の可能性を再認識した」との声が寄せられました。
 大分県事業承継・引継ぎ支援センターでは、来年度も中小企業の円滑な事業承継を支援するため、セミナーや個別相談を実施していく予定です。
 最新の情報は、本メールマガジンの他、ホームページやFacebook、Xでもご案内していきますので、是非、チェックしてみてください。

■トピック2:オープンネーム後継者募集イベント「事業承継マッチングin大分」(日本政策金融公庫主催)
 日本政策金融公庫主催のオープンネーム後継者募集イベント「事業承継マッチングin大分」が、2月13日(木)、オンラインにて開催されました(参加費無料)。大分県では初となるオープンネームマッチング支援で、登壇企業も参加者もオンライン参加のイベントです。当センターも共催者として参加しましたので、その内容についてご報告します。

 通常、企業名は伏せ、匿名でのマッチングが一般的ですが、今回は経営者本人が登壇し、映像を交えた事業内容の説明や参加者からの質問に対応するなど、大変画期的なイベントとなりました。

 第一部は、事業譲渡を希望する企業3社の経営者自らが、実名(オープンネーム)で登壇し事業内容を紹介、オンライン上で双方向型の質疑応答を行いました。それぞれの代表が自社の強み弱みを臆することなく自信を持って受け答えしている様子を会場で拝見し、早く良いところとマッチングが成立するよう支援を強めたいと思った次第です。

 第二部は、日本政策金融公庫の事業承継の活動状況の説明で、特にマッチングサービスの紹介に関する解説が印象に残りました。当センターとは日頃より連携をさせて頂いておりますので、より一層の連携強化を図りマッチングに取り組みたいと考えています。

 第三部は、登壇企業3社と参加者による個別のオンライン面談です。事業譲受を希望する参加者の中から特に関心を持った数名が、直接各社の代表と面談することができました。

 大分県で初めてのオープンネームによるマッチングイベントとして大変興味深いイベントであっただけに、成功のうちに終わって良かったという印象でした。当センターも、そろそろオープンネームイベントへのチャレンジが必要な時期に来ているのかもしれません。

■トピック3:新入職員 今年度の振り返り(サブマネージャー村松、エリアコーディネーター佐藤)
◇サブマネージャー:村松 清
 令和6年5月より、親族内承継支援担当・サブマネージャーとして着任しました。新入職員として令和6年度の1年間を振り返ります。
 私の業務は、親族内承継案件の進捗管理や事業者様の相談対応、SNSなどの広報、後継者塾などのイベント企画・運営など、多岐にわたります。事業承継や広報は未経験に近いため、センターの先輩職員からの助言はその場でメモを取り、独自のマニュアルを作成して効率化を図っています。
 前職のコンサルティング経験から「傾聴」の大切さは理解していましたが、親族内承継の多様なケースでは十分掘り下げられず、短絡的な答えになりがちな点には気を付けています。面談後、「あれを聞いておけばよかった」などと気付くこともあり、後から電話で追加聞き取りをすることもあります。
 着任当初に大分県内を隈なく回れたのは大きな収穫でした。40年以上暮らしていても行ったことのない土地や美味しいものを発見できましたし、遠方の相談者を訪問する際も、運転に気を付けながら出向き、新鮮な気分で向き合えています。
 事業承継の重要性がさらに高まるなか、ひとつひとつの仕事を丁寧に振り返りながら経験を積み、大分県の事業承継を支えていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
◇エリアコーディネーター:佐藤雅光 
 令和6年4月にエリアコーディネーターとして着任しました。担当地域である豊後大野市、竹田市、由布市、九重町、玖珠町を中心に事業承継ニーズを掘り起こす支援業務を重ね、気が付けば早くも1年が経とうとしています。
 この間、特に印象に残ったのが、父から息子への親族内承継(宿泊業)の事例です。60代の現代表(お父様)と、30代の専務(息子さん)による事業承継をめぐって、商工会を通じて「親子の話し合いを円滑に進めてほしい」とのご相談があり、支援を開始。当センターから中小企業診断士を派遣しました。
 支援内容としては、経営課題や経営資源を「見える化」し、経営改善と「事業承継計画書」の策定をサポートしました。その結果、息子さんからは「税理士や法務局、市役所への確認事項など、専門家から課題として与えられなければ自発的には行動に移しづらいことばかりでしたが、この機会があったからこそ進められました」とのお言葉をいただきました。また、お父様からは「身内だからこそ普段は話しにくいことも、今回の場でしっかり話せました。特に『今の女将(母)の後任を誰が担うのか』といった将来的な課題まで整理できてよかった」とのご感想を伺い、第三者が仲介する意義を改めて実感しました。
 今後もこうした外部支援の有用性をお伝えしながら、地域の事業承継ニーズの掘り起こしに力を注いでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

■お知らせ1:事業承継対策シートvol.7「個人事業主のための法人成り手続編」完成

 大分県事業承継・引継ぎ支援センターでは、独自の取り組みとして、よくご相談を受ける事業承継時の問題点について、テーマ別に専門家の監修を受けたパンフレットを制作しています。
 先月号でご紹介したvol.5「建設業編」、vol.6「飲食業、宿泊業、理・美容業編」に引き続き、今回、第7弾としてvol.7「個人事業主のための法人成り手続編」が完成しました。
 「法人成り手続編」は、小手川亮太税理士事務所の小手川亮太税理士に監修していただき、事業承継を機に法人成りを考えている事業主を対象とした法人成りの手続きや、その後の留意点などについて、下記のテーマに沿って解説しています。

 ・法人成りのメリットとデメリット
 ・法人成りの基本手続きと注意事項
 ・法人成り後の運営と留意点
 ・法人から個人事業主への移行(個人成り)
  
 今回完成した「個人事業主のための法人成り手続き編」は、業種を問わず法人成りを検討されている幅広い方々に役立つ情報が満載です。各商工会、商工会議所などで配布予定ですので、これまでの6冊のシリーズと合わせてぜひご活用ください。


■お知らせ2:令和6年度の事業承継に関する無料相談会・総括
 今年度も当センターの主催・共催による「事業承継に関する無料相談会」を、県内各地で実施しました。事業承継に関する様々な相談に、事業承継に詳しい弁護士、税理士、中小企業診断士に加え当センター職員が無料で対応しました。

 今年度の開催地は、県内9市において全55か所。商工会、商工会議所、日本政策金融公庫(大分支店・別府支店)に加え、市役所などでも相談会を開催しました。相談者は延べ170名。内訳は、事業主、後継者や事業主の奥様、従業員や役員、既存事業を引き継ぎたい事業者や創業希望者などです。
 相談内容を大きく分類すると、主に以下のようになっています。

1)後継者への引継ぎについて(承継時期や手続き、経営改善や後継者教育)
2)後継者不在のため引継ぎ者を探したい
3)後継者不在の会社を引継ぎたい
4)セカンドオピニオンとして意見を聞きたい
5)相続税や贈与税などの税金に関すること(事業承継税制含む)
6)株価や株式移転に関するもの

 相談者からは「相談して良かった、今後の参考にしたい」といった声を頂いた他、「もう少し早く相談すれば良かった」という声も散見されました。

 事業承継は早めに対応すればする程スムーズに進めることが出来ます。業種によっては手続き等に時間のかかる場合もあるので、早めの取り組みが肝要です。
 今年度開催分の相談会は既に終了しましたが、来年度も引き続き「事業承継に関する無料相談会」を県内各地で開催する予定です。詳しくは4月以降に当センターのホームページにて公開しますので、ご確認下さい。


■編集後記
 今日は「桃の節句/雛祭り」ですね。日田市をはじめ各地で雛祭り行事が盛大に行われています。
 ご覧になったこともあると思いますが、古くは江戸時代のものから近年のものまで、様々な時代の雛人形が一同に飾られている様は圧巻です。
 これらの雛人形は、子の成長を願い各家庭で昔から大切に保管され代々引き継がれてきたものです。事業を営んでいる方にとって我が子同然である事業を育て、守り、次の世代へ引き継いでいくことにも重なるように思います。
 ちなみに雛人形を飾る際に敷かれる「緋毛氈(ヒモウセン)」の赤い色には、魔除けの効果があると信じられており、災難から身を守り悪い物を寄せ付けないといわれています。事業承継の過程においてもそうであってほしいと願います。

 最後までお読みいただきありがとうございました。それでは次号をお楽しみに! (承 継子)

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