ASK編集長の橋本です。

少し前の出来事ですが、弊社テクニカルアドバイザーの間瀬が「鋳鉄用INOTECの開発」についてという内容で、日本鋳造協会から23年度の技術賞を受賞いたしました。

環境にやさしい中子造型システムであるアルミ用INOTECはドイツのBMWで最初に量産採用され、話題になりました。ASK JAPANでは2011年頃から、国内普及活動を開始し、最近では国内の大手自動車メーカーがINOTECを採用しています。軽量化の流れから鋳鉄からアルミに向かっていますが、鋳鉄製品はまだまだ圧倒的に存在していますので、ASKでは鋳鉄用INOTECの開発に取り組んでまいりました。無機バインダー専用の”水性”塗型の開発により、鋳鉄向け無機バインダーシステムが完成しました。


メルマガでは、受賞についてのインタビューを掲載します。

Q:鋳鉄の無機化で、現場や業界がどのように変わりますか?また、どんな期待が持てますか?

間瀬:まず、環境面では砂型(中子, 主型) 造型時に出る有機ガスおよび煙の発生がなくなるので、作業環境が著しく改善されます。また、設備面では環境設備が不要となりメンテナンスコストが小さくなります。
軽量化を求めて、鉄からアルミへという流れはありますが、現在も鉄系の鋳物の生産量は多いので、アルミで得られたメリットは、鉄にも有効です。

Q:アルミにはじまる一連の無機の普及のなかでの苦労点、開発や、活動のポイントと達成事項など、これを克服するためのアクションがあればぜひ、教えてください。
間瀬:日本の気候は、高温多湿であり高湿度下での強度劣化が大きく、中子の保管環境を低湿度に保つ必要があります。
これは、無機のターゲットが、アルミ合金鋳物になると通常シェルからの切り替えになることがほとんどであり中子の管理に関する従来の考え方を変える必要があったので、これに対するメリットについて理解してもらう必要がありました。それと同時に、耐湿性の向上をドイツに要求して、従来に比べてレベルが向上しました。また、日本独自のプロモーター対策でも大幅に改善することができました。 無機は湿度に弱いという初期イメージは過去のものになりつつありますね。


Q: 欧州やその他の国における無機のポジションと日本におけるポジションの差、その理由などお聞きしたいです。

間瀬:欧州に比べて、日本では環境改善にコストはかけられないという考え方がありました。ここ数年で、SDG‘sの考え方が浸透し、カーボンニュートラルを進める考えが日本でも浸透してきたため有機から無機への変更はこの対策に非常に有効であると認識が変わってきたことが大きな理由だとおもいます。対して例えば中国では政府主導で環境対策が取られるなど、特に新設工場や新ライン増設においては、排出ガスの審査があり無機でないと承認が下りないなどの大胆なケースもあるようです。

Q:最後に受賞の感想をお聞かせください!

間瀬:改めて協会の理事会や役員会の方々、取引先の皆さま、またASK社員に感謝申し上げます。当初、INOTECの日本での普及活動はSDGsへの関心があまり高くなかったため、ハードルが高かったです。初期の設備投資が必要ではありますが、作業環境や地球環境に負荷をかけない、有機排出物が出ないという大きなメリットがあり、時代の流れとおもに皆様の関心を集めることとなりました。
INOTECはまだ、発展段階でございます。鋳鉄用INOTECの量産採用には、お客様とASKケミカルズの共同開発的な進め方が必要です。
今後とも皆様と共に、歩んでいけたらと思います。よろしくお願いいたします。ここにグローバルとしてのASKの開発力と、ジャパン独自の開発能力、お客様とのコラボレーションなどを通じて日本化した技術に昇華させて業界のお役に立ちたいと考えております。

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